令和ピボットニュース

令和ピボットニュース 2019/07/22

令和ピボットニュース(2019年7月22日号)

みなさんこんばんは。

お知らせですが、8月5日発売の『週刊プレイボーイ』に、先日のケルトン教授の講演取材を受けて、MMTが提唱する「ジョブ・ギャランティー・プログラム(雇用保障プログラム)」に関する特集記事が掲載されるらしいので、楽しみに待ちましょう。

また、先日のMMT国際シンポジウムでの、藤井聡教授・岡本英男教授・松尾匡教授の講演と質疑応答については、YouTubeで下記のチャンネルにアップされています。
https://www.youtube.com/playlist?list=PL3g-WZ0bpgTPUjgZ8S4myRYQ6rRxwmTTG

ケルトン教授のものも含めて、講演で使われたプレゼン資料は、こちらで公開されています。
https://reiwapivot.jp/libraries/mmtsympo_presentation/

・・・さて、それでは本日の令和ピボットニュースです。

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■ 朝日新聞による、ケルトン教授へのインタビューですが、なかなかおもしろいやり取りです。

「日銀が国債全て買って大丈夫」 財政赤字を容認、「異端」MMT 提唱者ケルトン教授、来日インタビュー
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190719-00000008-asahik-bus_all
https://www.asahi.com/articles/DA3S14102960.html?iref=pc_ss_date

“ ――国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)は、巨額の政府債務を抱える日本に消費増税を提案しています。

「(IMFやOECDの)両組織とも、人よりも予算を優先させてきた歴史があります。それによって、多くの国々で人びとの生活を破壊してきました」

――積み上がった国の債務は返す必要がないのでしょうか。将来世代へのツケになりませんか。

「では今の世代が前の世代の借金を返しましたか? その前の世代は? ノーです。国の『債務』という言葉を使いますが、これは見方を変えれば、国民の『貯蓄』です。単に国債という形で持たれている円(お金)です。国民の資産であり、富の一部です」

(中略)

「将来、すべての債務が返されるか。しないでしょう。日本銀行は約40%の国債を保有していますが、キーボードのボタンを押すだけで明日にも無くすことができます。それは事実です。政府は日銀に利息を支払い、日銀は利息の収益を国庫に返します。だから日銀がいったん国債を買えば、それらは効果的に償還できます。買う量に制約はありません。買いたければ全ての国債を明日にでも買えます。国債を将来、返すことができるかなどと心配する必要はありません」

――債務が返されないのであれば政府の市場での信用が失われ、国債を買う人がいなくなるのでは。

「そうですか? それなら、日銀が全て買い上げればいいでしょう。大丈夫です。リスクはありません。実際、日銀はどんな年限の国債も無制限に買い入れますと公表することによって、短期国債だけでなく、長期国債の金利まで上手にコントロールしていますよね」”

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■ こちらは、ケルトン教授へのブルームバーグの単独インタビューです。金融政策よりも財政政策が重要になるというのは、日本だけの話ではなく、今後の世界的潮流になるであろう、とのことです。「リフレ派は時代遅れ」という理解がもっと広まるべきですね。

ケルトン教授、金融政策は財政政策に従属的な存在へ-インタビュー
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190719-80000000-bloom_st-bus_all
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-18/PUTS8Y6KLVR401

“世界的にも「財政政策と金融政策を今よりもっと協調的に運営することが将来の潮流になるのはほぼ必至」であり、中央銀行は「財政政策により協調的に行動するようになるだろう」”

“リーマンショック後の金融危機で「中央銀行は金利を0%に引き下げたが足りず、量的緩和など非伝統的な金融政策に踏み切ったがやはり足りず、矢が尽きてしまった」と指摘。「どこかの段階で金融政策だけでは限界があることに、さすがに皆が気付き始めるだろう」”

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■ 日経新聞がケルトン教授への単独インタビューを記事にしています。両論併記で反対派を連れてくるのは分かるのですが、ケルトン教授1人に対しMMT批判派を3人も並べるとは、本来の「両論併記」の精神を逸脱していてミスリーディングですよね。

MMTは現実的か 財政万能論の危うさ(複眼)
https://r.nikkei.com/article/DGXKZO47438670X10C19A7TCS000?unlock=1

“MMTについては、どのようにインフレを避けるのかという批判が強い。ただインフレを生もうと20年間苦心している日本がインフレの回避法を考えるのはおかしなところもある。
何パーセントのインフレなら許容範囲かといった数字の議論に意味はない。賃金や所得の増加率に照らし合わせて考えるべきだ。医療費や住宅価格など価格を押し上げる原因が特定できれば、それに沿った対策を打てばよいのではないか。”

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■ しかし日経には、こういう良質な記事も載っています。(最後に出てくる「公共投資を通じたばらまきで生産性は向上するのか、イノベーションは生まれるのかという疑念は残る」というのは、全く関係のない余計な話ですが。)

ケルトン教授の警鐘は届くか MMTと「投資家資本主義」
https://r.nikkei.com/article/DGXLASFL18HU9_S9A720C1000000?s=2

“「金融政策は(金利を通じて)民間債務に働きかけるため、資産バブルが警戒されるが、財政政策は民間所得に働きかけ、債務レバレッジに依存しない」。MMTの主唱者で先週来日したニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授は、リフレ政策との違いをこう強調する。
民間の創意工夫が活発で、設備投資意欲が旺盛な時代であれば金融緩和は有効だ。しかし、うまみのある事業機会に乏しい現代では金融緩和は株式など資産価格を押し上げるばかりで、物価や雇用への影響は限られる。それならば、国民の所得を直接増やす財政政策の方が有効という理屈だ。”

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■ なぜこうも、デフレの日本でインフレを心配ばかりをする論者が後を絶たないのでしょうか?

日本は実験台?「財政再建しなくても破綻しない」話題の経済理論MMTとは
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190718-00000001-binsiderl-bus_all&p=1
https://www.businessinsider.jp/post-194831

“日本は完全雇用の状態が続いています。さまざまな要因がありまだインフレは起きていませんが、今後は急に物価が上がり出す可能性も十分にあります”

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■ カナダ政府は、財政均衡主義を修正しつつあるそうです。

カナダはなぜ消費税を引き下げることができたのか。カナダ人記者が指摘する、日本の財政問題に必要な視点
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190718-01093350-playboyz-pol
https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2019/07/18/109335/

“カナダは財政バランスの健全さを保つことにこだわるあまり、それが、ある意味「自己目的化」していた面もある。いわば、財政の「健康オタク化」ですね(笑)。
現在のジャスティン・トルドー首相はこうした流れを若干修正し、近年は必要に応じて、国がある程度の借金をすることも厭わないという政策に転換しつつあります。”

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■ 過度な金融緩和は金融機関の収益を圧迫して、金融機関が本来の機能を果たすことを難しくする弊害があります。だから、しつこいですが、リフレ派の政策ではダメなわけですね。

マイナス金利の深掘り、金融仲介機能はさらに低下=全銀協会長
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190718-00000079-reut-bus_all

“マイナス金利深掘りの副作用については「金融仲介機能のさらなる低下を引き起こす」と指摘するとともに、金融機関の収益低下を招き、その結果として「銀行システムの格付けが引き下げられれば、外貨調達コストの増加などを通じて悪循環的に金融仲介機能不全に陥るリスクがある」との見解を示した”

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■ 一橋大学経済学研究科・政策大学院教授の佐藤主光教授が、あまりにも初歩的なレベルで間違いだらけの「MMT批判」を書いているので、藤井聡氏が一つ一つ論点を挙げて反駁しています。

間違いだらけの「MMT批判」を批判する
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190721-00057069-jbpressz-bus_all&p=1

“この記事には、MMTについての明らかな理解不足や誤解が散見されるのだが、そうした多数の間違いを記述した上で、結論的に次のような形でMMTを断罪しているところが、特徴的だ。

「これらがもてはやされるのは消費税の増税を含めて厳しい財政再建しないで済む理由であれば、何でも良いからかもしれない。どの奇策も正しいという確信があるのでなく、そうあってほしいという願望もあろう。危険なのは、わかりやすい、あるいは聞き心地の良い主張が必ずしも正しい処方箋ではないということだ」

「かもしれない」や「あろう」などと推量の文章で書かれてはいるものだが、この記述は明らかに、「MMTは、ムシの良い話を主張しているが、それは単なる願望に過ぎないもので、その中身をよくよく吟味すれば、何の合理性も無い、まやかしの論理にすぎない、だからそんなトンデモないものを信用してしまうのは、危険極まりない」という「印象」を強烈に喚起するものであることは、否定し難いだろう”

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■ もう、MMT批判のネタも尽きたらしく、「うまい話には気をつけろ」ぐらいしか言えなくなった識者もいるようです。

消費税は「増やすより減らせ」とは本当か――いい話ばかりのMMTの魅力とリスク
https://president.jp/articles/-/29359

“興味深い理論だが、『増税は必要ない』という聞き心地の良い主張をそのまま実行するのは危険だ”

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■ 誰がどう考えても、「そりゃそうだろう」としか言いようがないですよね・・。

「消費増税 悪影響」5割 企業意識調査 購買欲低下など懸念
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO47494430Y9A710C1TJ3000/

“帝国データバンクが発表した消費増税を巡る企業の意識調査によると、10%への増税が自社に「マイナスの影響」を及ぼすと見込む企業が約5割に上った。業種別では小売業の割合が最も高く、約8割の企業が負の影響を懸念していた。”

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