令和ピボットニュース

令和ピボットニュース 2019/06/01

令和ピボットニュース(2019年6月1日号)

みなさんこんにちは、令和ピボットニュースです。
本日も、ネット上で配信されている「要拡散」情報や「要警戒」情報をコメントつきでご紹介します。

■ NHKの野口修司記者は、MMTの主唱者であるレイ教授に取材までしておいて、MMTをトンデモ学説だと印象づけることに熱心なようです。

国はいくら借金しても大丈夫? 驚きの経済理論“MMT”とは
https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2019/05/0519.html

レイ教授は、

“借金を抱えても金利が上がらない日本は、正統派の経済学者が財政赤字や対GDPの債務の大きさについて何と言おうと、真実ではないこと示している。日本は、正統派の予測を覆すいい判例なんだよ。”

と言います。そのとおり。

“今から社会に出ようという大学生が老後の心配をするー。聞くと、やはり、国の抱える巨額の借金が気になるんだそうです。「このままいけば、医療も年金も信用できないし、持続できない。自分で守っていかないと」という彼女は、おそらく消費も倹約するでしょう。消費が伸びなければ金は回らないし、景気は良くなりません。”

これはその大学生の認識が間違っているというだけの話で、実際には財政を拡張して景気がよくなれば、その大学生の給料も増えて、老後に向けた貯金だって増えるのです。

■ 先日ご紹介した室伏謙一氏のMMT解説、こちらにも掲載されていました。

財務省も警戒する「MMT」とは…?政策コンサルタントが徹底解説!
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190530-00010000-tokyomxv-soci

■ 菅官房長官が、増税に向けた判断はもう終わっていると発言。

[深層NEWS]消費税10%「判断もう終わっている」…菅官房長官
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190529-OYT1T50292/

“菅氏は、10月からの消費税率10%への引き上げについて「(増収分を財源に)幼児教育を無償化するなど、子供・若者に約2兆円投資する予算を(国会で)説明し、成立させている。そこは全く変わらない。判断はもう終わっている」と述べ、予定通り実施する考えを強調した”

“「衆院解散は99%ないか」と問われると、「そうではないか」と語った”

■ 甘利選対委員長も次のように発言。

「消費増税の延期ない」 首相に確認と自民・甘利氏
https://www.sankei.com/politics/news/190528/plt1905280003-n1.html

“10月の消費税増税について「延期はもうない」と明言した。萩生田光一幹事長代行が先月、延期論に言及した際、安倍晋三首相から「それはない。そんなことは言っていない」と確認したと明らかにした。延期はリーマン・ショック級の事態が起きた場合だけだと説明を受けたという。
景気後退があっても「追加対策で十分対応できる」とも指摘した。
衆参同日選の可能性に関しては「99パーセントない」と述べ、否定的な見方を重ねて示した。”

■ しかし「リーマンショック級」の経済危機、は刻一刻と迫っていると考える必要があります。以下の藤井氏の解説をご覧ください。要するに、「そろそろバブル崩壊を起こしそうな国が世界にたくさんある」という話です。

【藤井聡】近い将来、リーマンショック級の危機が「絶対」起こる
https://38news.jp/economy/13731

■ 吉川洋氏がまた財政破綻論を語っています。

大地震にも備え消費増税を、「実感なき景気後退」なら延期不要ー吉川氏
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190530-75271867-bloom_st-bus_all

“高い確率で発生が予測されている首都直下、南海トラフなどの大地震も財政破綻の引き金になり得るとみている。これに備えるためにも地道な財政再建が必要”

いやいや、財政再建よりインフラ整備をして国民の生命を守ることのほうが大事なのではないでしょうか?
また、地震が来ると財政破綻すると言っているのですが、破綻の定義も、どういうロジックで破綻するのかも不明で、

“財政が破綻する「運命の日々が永遠に来ないということはあり得ない」と吉川氏はみる”

という雰囲気が語られるだけ。財政破綻論は宗教がかってきていますね。

■ 日本商工会議所の会頭も消費増税の推進を主張。

インタビュー:消費増税延期の選択「あり得ない」=三村日商会頭
https://jp.reuters.com/article/interview-jcci-mimura-idJPKCN1T006C

“増税の本質は、今の社会保障を持続可能にするための財源とし、必要な負担を求めることにある。経済状況云々とは切り離して考えるべきだ”

・・・税は「財源」ではないというMMTの議論をおいておくとしても、経済状況が改善すれば税収も増えるということには思いが至らないのでしょうか?

まぁ要するに労働者ではなく企業側の代表ですから、消費税と引き換えに法人税が減税されればそれでよい、という立場なのでしょう。だから最低賃金の引き上げにも否定的なコメントが出るわけですね。

“最低賃金引き上げ論議に対しては「『数字ありき』では、かえって設備投資などが抑制的になりかねない」と、政府の対応をけん制した”

■ こういう混乱をなくすためにも、増税は「凍結」で!

消費税8→10% 増税延期論に翻弄される現場
https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/feature/post_178264

■ 2060年にタイムスリップしたことにするという街づくりワークショップがあるらしいのですが、

「水道料金値上げ」住民が選択。2060年にタイムスリップして考えた街の課題
https://www.businessinsider.jp/post-191641

“老朽化していく町内の水道管の更新サイクルやその費用をどう賄うかについて……「費用は主に借金で賄い、料金値上げはなし」という選択肢もあったが、2班とも将来世代へのツケ回しを避けるため「料金値上げ」を伴う案を選んだ。”

変なワークショプに巻き込まれた住民の方を批判したいわけではないのですが、この考え方は間違いですね。インフラの恩恵は将来世代も被るものなので、堂々と借金をすれば良いはずです。

■ 東洋経済もMMTを「トンデモ」扱いしたいらしいのですが、

財政再建か財政拡張か大論争!
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/20668

“MMTは必ずどこかの時点でインフレを招き、その際、他通貨への資金流出などで制御困難な自国通貨安や悪性インフレにつながりかねない”
“究極の財政赤字容認論であるMMTの主張から得られる大きな教訓がある。財政赤字による支出拡大策は、どのようなものであれいずれインフレを起こし、最後には増税や支出カットという国民負担が必要になることだ”

・・・財政赤字が膨らんでもインフレどころかデフレ脱却もできない現状をどう説明するんでしょう?

■ MMTによって財政規律が緩んでしまうことを(必要以上に)心配する人が跡を絶ちませんが、下記の藤井氏の記事のように、「新しい財政規律」の導入なのだと理解してはどうでしょう。

藤井聡 消費税を凍結・減税すべし!<12>
MMT(現代貨幣理論)から見た「消費増税」凍結論
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/255049

“MMTは「財政規律を撤廃せよ」と叫ぶものなのではなく、「財政規律を改善せよ」と主張するものなのである”
“インフレ率(物価上昇率)が適切な水準になることを目指して政府の支出額を増減させ、調整していくべきだという「新しい財政規律」”

■ 以下のMMT批判記事では、増発された通貨が金融取引に流れてしまうと、結局のところ実体経済を改善しないではないか?という指摘がされています。

現代貨幣理論MMTを問う(上) 目新しい主張、軒並み不正確
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO45465750Q9A530C1KE8000/

“MMTは、財政ファイナンスがインフレまたは経済成長を促す過程で、金融仲介機能、投資の金融化、資産価格インフレが果たす役割を軽視している。通貨増発で賄った財政支出が投資に充当されるか、M&A(合併・買収)や自社株買いに使われるかにより、経済成長や経済的厚生(利益)に与える影響は異なる”

それはそのとおりで、だからこそ体系的な「政策の転換(ピボット)」が必要だというのが、先日も紹介した以下の中野剛志氏の解説です!

中野剛志:MMT「インフレ制御不能」批判がありえない理由
https://toyokeizai.net/articles/-/283186?page=4

“政策的にマネーを増やしても、実体経済、とりわけ労働者には回らず、金融部門に流れていってしまう経済構造になったのである。……このため、現在の日本の経済構造では、財政赤字を拡大しただけではインフレは起きない可能性がある……賃金上昇やインフレを望むなら、グローバル化に制約を加えなければならない。バスタブに水を貯めたければ、底の栓を閉めなければならないのだ。”

“このため、財政赤字の拡大と同時に、新自由主義とは正反対の経済構造改革をしなければならない。要するに、平成時代に行われた一連の改革とは逆の方向に転換しなければならないということだ。”

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